ピックルボールは、手軽に始められるラケットスポーツとしてアメリカやオーストラリアで注目されており、近年ますます人気が高まっています。
しかし、「ピックルボールは他のラケット競技に比べて、どれくらいの運動量があるのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。
特に、テニスやバドミントンといった運動量が多いスポーツと比べ、ピックルボールがどれほどのカロリーを消費するのかや、心拍数にどのような影響があるのか気になるところです。
そこで本記事では、Appleウォッチのデータを活用し、ピックルボールと他のラケット競技の運動量データを比較した海外の記事を日本語に訳してご紹介します。
運動効果をしっかりと理解したい方や、健康管理にピックルボールを取り入れたい方は、ぜひ参考にしてください。
4種のラケット競技と比較した運動データ
まず、テスト機器としてAppleウォッチを使用しました。
Appleのフィットネスアプリの「テニス」モードを選んだのは、他のラケットスポーツ用の専用アプリがなかったり、他のモードだとただの「ウォーキング」としてしか測定されなかったりしたためです。
最終的に、ピックルボールや他のラケットスポーツにおいて70回のサンプルデータを収集し、競技のタイプ(オープンプレイ、カジュアルな打ち合い、リーグ戦、トーナメント)や、その日の「活力度合い」を1〜10のスケールで評価しました。
例えば、競技レベルの高いシングルスの試合は9~10の活力度合いですが、3.0レベルのプレイヤーたちとのオープンプレイは2といった具合です。
シングルスのデータ
スポーツ/形式 | ピックルボール | テニス | スカッシュ | ラケットボール |
---|---|---|---|---|
アクティブkcal/時間 | 451 | 437 | 402 | 399 |
総kcal/時間 | 578 | 563 | 523 | 524 |
平均心拍数 | 116 | 115 | 103 | 99 |
平均プレイレベル | 4.25 | 3.75 – 4.25 | 3.5 | エリート |
平均活発度 | 9/10 | 9/10 | 8/10 | 9/10 |
ピックルボールのシングルスにおける運動量は11回の測定に基づいており、そのうち10回はトーナメントで、1回はプロの指導者と対戦したシングルスセッションから得られたデータです。
対戦相手は全て4.0~4.5レベルのプレイヤーで、非常に高い活力度合いで試合が行われたため、運動負荷が非常に高い結果となりました。特に、20分間のトーナメントシングルスゲームでの測定では、1時間あたりアクティブカロリーが515 kcal、総カロリーが640 kcalに達し、70サンプル中で最高の記録でした。
続いて2位となったのはテニスのシングルスです。これにはUSTAのシングルスリーグの試合や、速いテンポで行われるクラブの「ブリッツ」テニスクリニックからの測定が含まれています。
特にサーブにかかる負荷が影響しており、USTA 3.5レベル(UTP約4.00)の私には予想以上に体力を要しました。シングルスでは他のスポーツとの消費カロリーの差が小さいものの、この種の運動は非常に負荷が高く感じられます。
スカッシュのデータは少ないものの、他のシングルススポーツと比べてカロリー消費が低い結果となりました。
スカッシュはラリーの際には全力疾走に近い運動が必要ですが、ラリーの後に短い休憩が挟まるため、総消費量が他のスポーツほど高くならなかった可能性があります。また、体力が若い頃ほどではないため、消費カロリーが少し低めに出たのかもしれません。
昨秋のラケットボールシングルストーナメントでは、1時間のラウンドロビン形式で競技を行い、ウォッチを付けたまま計測しました。
しかし、シングルゲーム間には休憩もあり、1時間あたりのカロリー消費が予想よりも少ない結果となりました。一般的にはラケットボールが高いカロリー消費をもたらすとされており、1時間あたり800カロリー以上燃焼するスポーツと称されていますが、私の測定ではそこまで至りませんでした。
この結果は、競技レベルや休憩の影響を受けた可能性があります。ダブルスの試合も行いましたが、計測中にウォッチのバッテリーが切れてしまいデータは取得できませんでした。ただ、ラケットボールのダブルスはシングルスよりも運動負荷が少ないことは明らかです。
このように、各スポーツの測定結果からピックルボールシングルスが最も高い運動負荷を示し、特にトーナメントレベルでのプレイがカロリー消費の観点からも非常に優れた運動であることが分かりました。
ダブルスのデータ
スポーツ/形式 | ピックルボール (トーナメント) | テニス |
---|---|---|
アクティブkcal/時間 | 401 | 405 |
総kcal/時間 | 523 | 530 |
平均心拍数 | 112 | 105 |
平均プレイレベル | 4.00 – 4.25 | 3.5 – 3.75 |
平均活発度 | 8/10 | 6/10 |
競技レベルのピックルボールダブルスのデータは8回の測定に基づき、4.0/4.5レベルのトーナメントや競技リーグの試合から収集しました。対戦相手のほとんどは4.25レベルで、1試合は5.0レベルのプレイヤーとのトーナメント決勝戦という高レベルな場面でした。
結果として、ピックルボールシングルスと比べると、競技ダブルスのアクティブカロリー消費は約11%低いことが分かりました。これは、ダブルスではシングルスほど広範囲に動く必要がないことや、プレイ中の動きがパートナーの役割にも左右されることが大きな理由です。
特に、パートナーが相手より弱い場合、自分がプレイするボールの数が減ることが多く、さらにダブルスではリターン後にネットに詰め寄る場面が少なく、すでにネット付近に位置することが多いため、体力消費もシングルスほど大きくありません。
一方で、テニスダブルスの測定結果は予想外に高い運動量を示しました。
テニスのダブルスでは、サーブ待ちで立っている時間が増える傾向があり、特に私のテニスレベル(USTA 3.5)ではミスやサーブ失敗が多く、ラリーが短く終わることが多いです。しかし、もしもより高いレベルのプレイヤーであれば、ラリーが長く続くため、その分運動量が増える可能性があります。
ピックルボールの運動量はテニスよりも高い
ピックルボールのシングルスは、他のラケットスポーツと比較してもかなり激しい運動であることが判明しました。
逆に、ピックルボールのオープンプレイでのダブルスは、テニスと比べて負荷が低いものでした。特に高度なスキルを持つ選手であれば、私が計測したよりもさらに多くのカロリーを消費するかもしれません。
参照:The Workout Value Of Pickleball Compared To Other Racquet Sports